台の口川公園を歩いていると、小さな滑り台のそばに、妙に気になる存在がいる。ロッキンパッピーだ。
公園遊具の世界には、巨大な複合遊具もあれば、長大なローラー滑り台もある。しかし、ロッキンパッピーはそんな競争には参加していないように見える。ただそこに佇み、乗る人が来れば揺れる。その潔さがいい。遊具なのだから遊ばれてこそ本領発揮なのだが、誰も乗っていない時間まで含めて、なんとなく公園の風景になっている。
そのそばには小さな滑り台がある。高くもなく、長くもない。それでも階段を上り、頂上から少し景色を眺め、するりと地面へ戻ってくる。滑り台の楽しさは高さだけで決まるものではない。むしろ、このくらいの大きさだからこそ、何度も上っては滑るという公園遊びの原点を素直に楽しめるのかもしれない。
ロッキンパッピーと小さな滑り台。遊具の数や規模で語れば、ずいぶん簡潔な公園だ。しかし実際に歩いてみると、その簡潔さが妙に心地よい。何をして遊ぶか迷う必要もなく、気になる遊具へ向かえばいい。公園に必要なものは、案外それくらいなのだと思えてくる。
台の口川公園がある多摩市和田は、住宅地の中に緑や起伏が残る地域だ。街を歩く途中にこうした小さな公園が現れると、目的地ではなかったはずなのに、少しだけ寄り道したくなる。
滑り台は今日もそこにあり、ロッキンパッピーも静かに佇んでいる。何か大事件が起こるわけではない。それでも、わざわざ見に行きたくなる風景というものは、確かにあるのだ。








