鎌倉児童遊園
アップデート:2026/09/26

遊具はない。
あるのは小さなベンチと、龍閑橋の一部。鎌倉児童遊園は、遊園という名前から想像する風景を、気持ちよく裏切ってくる。
ここでどうしても目を向けたくなるのは、龍閑橋だ。
橋というものは、本来なら向こう側へ渡るためにある。しかし、ここに残るのはその一部。渡るという役目から離れた橋が、公園の中に静かに残されている。どこかへ行くためのものだった存在が、いまは立ち止まって眺めるものになっている。その変化を考えるだけで、街歩きは少し面白くなる。
そして、その近くに小さなベンチがある。
滑るでも、漕ぐでも、登るでもない。ただ座る。ずいぶん簡素だが、この場所ではそれでいいように思えてくる。龍閑橋の一部を眺めながら腰を下ろせば、公園で休んでいるというより、街の時間の途中に少しだけ席を借りているような気分になる。
千代田区内神田三丁目。遊具がなくても、公園には見るものがある。むしろ何もないからこそ、普段なら通り過ぎてしまうものに目が向くのかもしれない。
小さなベンチに座り、残された橋を見る。
それだけのために寄り道する午後があってもいい。




