豊ヶ丘

豊ヶ丘を歩くと、まず空の広さに驚かされる。団地の屋根がゆるやかに並び、そのあいだからこぼれる光が、町全体を柔らかく包み込んでいる。広い歩道を進むたび、風は木々のあいだを抜け、どこか懐かしい音を連れてくる。住宅街でありながら、まるで丘陵地の静かな旅路を歩いているような不思議な感覚がある。

団地の間を縫う遊歩道には、季節ごとの緑が溢れ、春には桜、夏には濃い影、秋には金色の落ち葉が舞う。どこを歩いても、まるで町がゆっくりと呼吸しているようだ。途中にある小さな広場では、陽だまりが円を描き、子どもたちの笑い声が風に乗って運ばれてくる。その光景が、この町に流れる時間のやさしさを象徴している。

高台へ上がれば、遠くまで伸びる多摩ニュータウンの景色が見渡せる。住宅が幾層にも重なりながらも、ひとつひとつが穏やかな調子で並び、暮らしの温度がそのまま風景になっているようだ。豊ヶ丘は、ただ静かなだけで終わらない。歩くたびに胸の奥をふっと軽くする、不思議な余白をたたえた町なのだ。

豊ヶ丘の場所

豊ヶ丘・町名の遍歴・由来

旧南多摩郡多摩村大字落合の純農村、小字豊ヶ岡(今とおかの文字が異なる)付近にあった南北に延びる二つの谷戸筋に囲まれた丘陵地の山林が、多摩ニュータウンの第8住区として旧住都公団が開発主体となり造成された。旧谷戸筋は幹線道路の配道筋として利用され、これら道路に囲まれた区域が新生豊ヶ丘になっている。街全体としては南部方面ほど標高が高くなるが、反面北部に部分的に標高の高い旧来からの山間地形が残っている。(豊ヶ丘 - Wikipedia)

豊ヶ丘の公園