東寺方

東寺方は、町の端々に古い響きを残しながらも、現代の暮らしがしずかに溶け込む、不思議に落ち着いた場所である。多摩川へ向かう風が道の奥からふっと吹き抜け、屋並みの隙間を揺らすと、どこか寺社の影を思わせる気配がほんのり漂う。地名の響きがそうさせるのか、歩くほどに時間の奥へ引き込まれるような感覚が芽生えてくる。

住宅街を抜けると、畑の名残や緑地の呼吸が静かに立ち上り、季節ごとに色を変える草花が道端にさりげなく咲く。昼下がりの陽光が斜めに差し込むと、影の輪郭がくっきりと浮かび上がり、町全体が少し幻想めいた表情を見せる。遠くから聴こえる子どもたちの声も、どこか柔らかい。

東寺方の魅力は、名所と呼ぶには控えめで、しかし日々の隙間にしっかりと根を下ろす景色たちである。歩けば歩くほど、静けさの奥に潜む豊かさがそっと姿を現し、気がつけばもう少し先まで行ってみたくなる。そんな柔らかな引力を秘めた町である。

東寺方の場所

東寺方・町名の遍歴・由来

古くは寺方村と言ったが、同じ南多摩郡内で西寺方村(現八王子市西寺方町)と区別するために「東」を付けた。 (東寺方 - Wikipedia)

東寺方の公園