千葉市若葉区へ足を踏み入れると、都市の輪郭がふっと緩み、丘陵の起伏が旅人の心をやさしく撫でてくる。古くから続く里山の気配が街の奥底に息づいており、道を歩くたびに、土の匂いと昔日の記憶がほんの少し混じり合う。加曽利貝塚の広がりに出会えば、太古の時間が静かに立ち上がり、現代の風景と肩を並べて遠い日々の気配を伝えてくる。
住宅地の並びは穏やかで、坂道がゆるやかに重なり合い、歩く者の足をどこまでも誘っていく。若葉区の公園に広がる緑は、街の胸の内をそっと開くようで、木々の間に吹き抜ける風は、迷いをひとつずつ軽くしていく。春の新緑はきらめき、夏の陽光は力強く、秋冬の空には静寂が美しく宿る。
のどかな田園地帯に伸びる道を歩けば、遠くの景色がゆっくりと揺れ、目に映るものすべてが物語の入口のように見えてくる。千葉市若葉区は、都市と自然の境界が柔らかく溶け合い、日常の中にひそやかな冒険心を呼び覚ましてくれる場所である。