千葉市美浜区に足を向けると、海辺の光が街全体を淡く照らし、どこか未来的でありながら懐かしい風景がゆっくりと立ち上がる。計画的に整えられた街路は幾何学模様のように伸び、歩く者の心を軽やかに誘導していく。ビルのガラス面に映る海の青は、まるで都市が静かに潮の息遣いを吸い込んでいるかのようで、その響きが胸の奥にまで染み込んでくる。
幕張海浜公園に入れば、風はさらに柔らかくなり、木々の葉がさざ波のように揺れ動く。散策路を進むたび、海と街の境界が曖昧になり、足元の影までがどこか躍動して見える。遠くには幕張メッセの白い屋根が浮かび、巨大な船のように静かに佇んでいる。
夕暮れ時、美浜の空は途端に広大さを増し、朱と藍がゆっくり溶け合う。その色彩の重なりの中で、自分自身もまた世界のどこかへ漂い出していくような心持ちになる。美浜区は、行くたびに心の景色を刷新してくれる、不思議な海辺の街である。